パソコンやインターネットの普及に伴い、今では年賀状の準備も絵柄や差出人をはじめ、宛名もプリンターや印刷通販でプリントされる方が多いと思います。
それでも、大切な人や恩師・上司などの目上の方に宛てた年賀状だけは手書きにされたり、プリントだけだと機械的で冷たい印象になるため一言だけ手書きの一筆を加えたり、あるいは宛名だけは手書きにされるといった方は多いようです。
そこで今回は、せっかく頑張って準備した年賀状が、知らぬ間に相手に失礼な事がなっていたり、不快な想いをさせてしまう事がないように、年賀状に手書きする際のマナーやルール、注意点についてご紹介します。
細い文字より、太い(力強い)文字で書こう!
慶事に関する手紙・挨拶状では、慣例的に細い字よりも太めで力強い文字の方が好まれるため、年賀状でも、ボールペンのような細い文字になるペンは避けて、出来るだけ毛筆や筆ペンのような、柔らかで力強い文字で書かれることが好まれます。
ただ、毛筆で書くのは不慣れで難易度が高いと感じたり、枚数が多いと時間が掛かるといったこともあって、毛筆の代わりに筆ペンやサインペンを代用される方も多くいます。
いずれにしても、基本は印刷で一筆だけ手書きで加えるような場合は特にですが、1枚にかける時間も昔ほど多くないと思いますので、出来るだけボールペンよりも太めのものを使う方が好まれやすい、とだけ覚えておきましょう。
特に年配の方には、ボールペンで書かれた年賀状は嫌う方も多くいると思いますので、やはり恩師や上司、あるいは取引先などのビジネス関係で年賀状を送る際はボールペンは避けるのが無難だと思います。
ただし、最も覚えておきたい大切なことは、相手に対する思い遣りや、心遣いです。
例えば、不慣れな毛筆や筆ペンで書くことによって、仮に文字がいびつになってしまっても、「相手を想い、礼節を重んじて不慣れなペンを使って丁寧に書いてくれた」と伝わる方が、受け取られた相手の方にとっては、より嬉しい年賀状になるのではないでしょうか。
ですので、不慣れなペンでは文字が汚くなるとか、文字が下手なのが気になる場合でも、心を込めて丁寧に書くことが何より大切だと思います。
手書きする場合に使うオススメのペンは?
添え書きだけでも手書きしたいと思うけど、慣れないペンだと書きにくかったり、時間がかかるというのが心理的なハードルを上げますよね。
そこで、年賀状を書くのに適したペンの特徴や、選び方のポイントなどを紹介します。
1.毛筆
年賀状を書くにあたって最も適したペンといえば、やはり毛筆です。
これは年賀状に限らず、各種の挨拶状や手紙をしたためる際に共通して言える事ですが、日本語の文字や文章は文化的に毛筆が最も美しく見えるといえます。
ただ、日頃から毛筆で書くことに慣れている人は少ないと思いますので、慣れないうちは「細字用」の毛筆を選ぶと良いと思います。
2.筆ペン
毛筆と墨を使って書くのはハードルが高いと感じる方も多いでしょう。
そんな場合にオススメなのが、毛筆のように文字の太さや細さ、強弱、トメやハライといった字体の変化や緩急が表現しやすい筆ペンです。
毛筆と同様に、慣れないうちは「細字用」の毛筆を選ぶと良いと思います。
3.万年筆
万年筆は、書き手の使い方1つで太さの調整はもちろん字形に様々な表現が可能で、とても味わい深い筆跡になります。
また、宛名書きにも適していて、筆圧がいらないので疲れにくいのも特徴です。
なお、キレイな文字が書けるようになるまでコツがあるのも事実ですが、挨拶状や手紙文化に触れる機会の多い方、あるいは年配者には、自身も万年筆で書くことを好む方が少ないので、年賀状を機会に、万年筆そのものに慣れるのも良いかと思います。
4.サインペン
筆ペンと違って、ペン先にある程度の硬さがあり、筆圧がブレても文字が太くなったり崩れたりしにくく、安定した文字が書きやすい&使いやすいのがサインペンです。
年賀状に利用する方も多いですし、出来るだけ手軽に書きたいという場合には、オススメです。
5.油性インクのペン
ペンの種類として分類しにくいのですが、油性のインクで書かれるその他のペンは、少しくらい水に濡れても滲みにくい&乾きやすいのが特徴です。
6.ボールペン
おそらく社会人になると最も日常で使う機会が多いペンかも知れません。
ただ、筆跡を含め、気軽に使いやすい一方で、相手の方に「お手軽感」や「手抜き感」、あるいはマナーを心得ていない人といった印象を与えやすいリスクもあります。
7.鉛筆
小学生ぐらいの子どもはともかく、大人になって鉛筆を選ぶ方もそういないかと思いますが、稚拙な印象を与えてしまう恐れがありますので、鉛筆はやめておきましょう。
宛名面を手書きする際に注意したいマナーやルール!
宛名を手書きする場合は、書き出しの位置や、名前と住所の文字の大きさのバランスなどに注意しましょう。
住所の書き方
【1】住所の書き出し位置は、郵便番号の枠下に1文字以上、はがきの右端から1行以上あけて書きます。
【2】番地や部屋番号には漢数字を使用します。
【3】ビルやマンションなどの建物名がある場合は、2行目に、1行目よりも1文字分下げた位置から書くようにします。
【4】県名や建物名は、たとえ相手が親しい間柄の場合でも、省略せずに全て記載するのがマナーです。
宛名(先方の名前)の書き方
宛名が一人の場合
【1】郵便番号の左から2番目の数字を目安にして、その下に1文字分あけて大きめの文字ではっきりと記入します。
【2】姓と名の間も1文字あけ、更に1文字分あけて、相手にあわせた敬称を記入します。
常用外の漢字や旧字などの間違いは特に見落としやすいので、十分に注意する必要があります。
宛名を連記(2人以上)の場合(連名)
【1】宛名を連記する場合は、一人ずつ全員に敬称をつけます。
【2】家族宛で姓(名字)が同じ場合は、二人目以降は姓を省略し、名のみ書きます。
【3】家族全員宛などで人数が多く書ききれない場合や、名前が分からないような場合には、世帯主の方のみ名前を書いて「様」をつけ、その横に「ご一同様」としても結構です。
何となく二世帯と似た例ではありますが、取引先の会社で送りたい方が二人以上いるような場合は、所属部署が異なる場合はもちろん、同じ部署であっても、それぞれの個人宛に分けて別々に出すのがマナーです。
取引先の方に送る場合(会社名+個人名の場合)
取引先の方へ年賀状を書く場合は、会社名や部署名、さらには役職なども書く必要があります。
【1】先方に応じて、法人名・部署名・役職・姓名・敬称の順に書きます。
※株式会社や有限会社の後先にも十分に注意します。
【2】個人に宛てる場合、法人名への敬称は入りません。
※「○○会社御中 ○○様」といったように敬称を重ねないように注意しましょう。
【3】役職を付ける場合は、必ず名前の前に書きます。
(例)誤:「●●●● 部長様」→ 正:「部長 ●●●● 様」
※役職・肩書が複数ある場合や、長くて文字数が多い場合は、名前の右側に記載すればOKです。
【4】取引先への年賀状では、送る相手が複数名いても連名はNGです。
※それぞれの名前で個別に出すか、同じ部署なら部署名に宛てて出すようにしましょう。
敬称の選び方
【1】宛名の敬称は「様」が一般的ですが、先方が会社や法人組織・団体などの場合は「御中」を使います。
※法人宛の場合は、株式会社や有限会社の後先にも十分に注意します。
【2】教師や恩師に宛てる場合は、「先生」をそのまま使っても構いません。
【3】組織内の個人に宛てる場合は、「○○会社御中 ○○様」といったように敬称を重ねないように注意します。
※この場合は「○○会社 ○○様」と書きます
【4】「殿」は目下の方に使用する敬称なので注意しましょう。
差出人の書き方
表面に書く場合、差出人の情報は左下にある郵便番号の枠幅に合わせて、少し小さめの文字で書きます。
※本来は表面に書くのが一般的ですが、最近では裏面に入れるケースも増えています。
また、宛名や差出人の名前が連記になるとスペースが狭くなってしまう場合もありますので、
表面か裏面かはさほど神経質になることなく、全体の見た目やバランスを考慮して決めて良いと思います。
間違ったら修正や誤魔化しはせずに書き直そう!
手書きする以上は、やはり間違えてしまうことがあるかも知れません。でも、年賀状を含め先方に送る手紙や挨拶状では、間違えたにも関わらずそのまま送る(修正したり誤魔化したりして、ミスした手紙をそのまま使用する)ことは相手に対して大変失礼にあたります。
そのため、ちょっとしたミスで書き直すのは手間もかかるし、勿体ないと感じるかも知れませんが、あらかじめ数枚は多めに用意するなどして、間違えた時は迷わずに書き直すようにしましょう。
これは年賀状以外でも、相手が仲の良い友人であっても、マナーとして覚えておきましょう。
書き損じた年賀はがきは、新しいはがきや切手に交換できるよ!
※ちなみに、書き損じた年賀はがきは、郵便局で新しいはがきや切手に交換することが出来ます。